昨日大阪府の担当者から、保護犬の譲渡希望者が多く犬の数が足りないので、うちで預かっている犬たちも譲渡会に出してほしいとの連絡がありました。できればこの子たちは自分で里親さんを探したかったのですが、わがままを言うわけにもゆかず本日、大阪府の管理センターへ引き取られて行きました。この子たちを預かっているあいだ、いろいろなことを考えました。電気が止められ、雨戸も閉められた暗闇のなかで生活していた眼に、初めて見る太陽の光や外の景色はどのように映ったのか。糞尿にまみれ、シラミだらけの身体を初めて洗ってもらったときはどんな気持ちだったのか。擦り切れて、少しあるくと血だらけになっていたパッドで初めて草や地面に触れた時の感触はどうだったのか。昨年の12月から約3ヶ月間、『(社)大阪府獣医師会 災害時における動物救護等対策委員会』の佐伯委員長を中心に、委員の一人としてこの子達を救うべく、多くの人々に支えられ、助けられながら活動をしてきました。空腹に耐え、地獄のような環境で生き延びてきたこの子達が二度と飢えることなく、暖かい人の愛情に包まれて、幸せな生活を送れるよう祈ります。ほんとうは喜ぶべきことなのに、心境は複雑です。ご協力いただいた先生方、はげましのコメントをいただいた皆様、本当にありがとうございました。

大下動物病院